不動産投資信託

不動産投資信託とは、投資家から資金を集めて不動産を所有し、そこで生じる賃料や売却益などを投資家に分配する資産運用です。投資信託というと株式や債券などの有価証券を投資対象とする商品が多いですが、2000年11月に投資信託法が改正され不動産も運用対象にできるようになりました。

不動産投資信託の代名詞「Jリート」とは

不動産投資信託の代名詞となっているのがJリート(J-REIT)ですが、これは不動産を所有・運営するために設立された特別な法人を経由して間接的に不動産投資をするものです。株式市場と同様に東京証券取引所に不動産投資信託市場が開設され、30社くらいの投資法人が上場しています。こうした投資法人が不動産の運用益を投資家に分配する仕組みになっています。

不動産投資を個人が直接行うと対象の不動産によっては膨大な資金が必要になりますが、こうした仕組みを利用すれば少額での投資も可能になるのが魅力です。元本保証はないものの利回りが比較的安定(現在も5%前後)しているので一時期大変な人気となりました。

Jリートの注意点

Jリートは不動産を対象としますから、賃料下落や空き室のリスクがあります。また運用資金は投資家から集めたものだけでなく金融機関からの借金もあるため、金利が上昇すると運用が厳しくなったり、他の金融商品との比較優位性が低下したりする可能性もあります。

リーマンショック以降、それまでの人気は陰りリート離れが進んでしまいました。今後は投資法人の安定性を見極めて慎重に選ぶことが重要になってくるでしょう。

安全性に優れたタイプの資産運用商品が登場

不動産投資信託を取り巻く環境が厳しくなるなかで、新しいタイプの不動産投資商品が登場しています。最近注目されているのは、「みんなで大家さん」という資産運用商品で不動産の賃料収入を分配金の原資として利回り7%の実績があります。

Jリートは投資法人の投資口を購入して株主になるような仕組みなので、流動性は高いですが、日々の価格に変動があります。

みんなで大家さんの場合は不動産価格ではなく賃貸利益で元本を評価しているため、出資元本の変動がおさえられる仕組みになっています。さらに、賃料が下がってしまった場合に、先に営業者(運用会社)の出資分を減資することで、下落分が20%までならば出資側の元本に影響が出ない「元本保全システム」が導入されています。

元本保全システム、信頼できる?

元本保全システムは、満期に最低限の元本を払い戻せる方針のもとに運用するもので、元本保証とは異なります。分配金も確定されたものではありません。

しかし、不動産投資信託で懸念される賃料下落リスクにバッファを設けて元本を守る仕組みが整っている点は評価できます。値動きのある株式投資や為替変動リスクのある商品と比べると安全性の高い資産運用商品と言ってよいでしょう。

一口100万円で運用期間が3年ですから、安全性を考えて個人向け国債を検討されている方や、堅実な資産運用がしたいと考えている方は、新しいタイプの不動産投資信託の購入を検討してもよいのではないでしょうか。

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不動産投資信託の利回り

不動産投資信託といえばJリートなので、ここではJリートの利回りについてご紹介します。

Jリートは利回りが高いことでも知られているのですが、それはなぜなのでしょうか。これは、主な原資となっているのが賃料収入であることが大きく関係しています。不動産といえば空き室のリスクがあるわけですが、これを分散させるために多くの不動産に投資を行い、空き室が発生した場合のリスクをできるだけ分散させることにより高い利回りを誇っているのです。

これだけではありません。Jリートでは驚きの当期利益の90%超にあたる金額を投資家に分配することを約束しているのですが、この条件によって税金の免除が認められています。

一般的な株式会社の場合、事業による収入を配当する場合は利益から約40%にあたる法人税を差し引き、その金額から配当金が算出される形になっているのですが、Jリートの場合は法人税が引かれないため、総合的な利益から多くの分配金が受け取れるのです。

これによりJリートは非常に安定して運用することができるサービスであるため、高い利回りを実現しました。

不動産投資信託の優待

投資を行う上で、優待を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。優待目的で投資を始める方も少なくありません。

すべての銘柄が優待を用意しているわけではありませんが、一部銘柄では投資優待制度があります。一般的に優待といえば株主優待の方が有名ですよね。しかし、不動産投資信託の優待もなかなか豪華なので見逃せません。

具体的には次のようなものがあります。

大和ハウスリート

スポンサーは大和ハウスグループです。2月末日及び8月末日の各決算期において投資主名簿に記載又は記録された方が対象となります。この優待は大和リゾート株式会社が展開している27ヶ所のダイワロイヤルホテルズで利用できる優待券を一枚配布してもらえるというもの。

1部屋2名以上から利用可能で2人での利用の場合は日~木が1泊朝食付で8,280円、1泊夕朝食付の場合は13,030円、金・休前日及び特定日については1泊朝食付が9,480円、1泊夕朝食付が14,230円となります。

星野リゾート・リート

こちらはその年の基準日に投資主名簿に記載又は記録された投資主が対象となる優待です。一枚につき税込2,000円相当の割引が受けられる投資主優待券が送付されます。

対象施設となるのは星のや軽井沢、星のや京都、リゾナーレ八ヶ岳、リゾナーレ熱海、界など高級宿泊施設ばかりなのですが、リートの価格が100万円を超えているため、選択できる方は限られるかもしれません。 ただ、予想利回りは高めです。

ジャパン・ホテル・リート

その年の基準日に投資主名簿に記載又は記録されている方で投資口は10口以上を所有している方が対象となります。優待制度の内容は宿泊割引券5枚及びレストラン割引券5枚が送付されるもので、利用対象ホテルはHMJ9ホテル及びアコー6ホテルです。

各ホテルが提供しているベストレート又はフレキシブルレートから宿泊料金が10%割引になるほか、一部のホテルではレストラン利用でも利用料金から10%割引の優待が受けられます。

このように、様々な会社が優待制度を取り入れています。Jリートで銘柄を選ぶ際には商品性について利回りなども重視して決める方が多いのですが、株式と同じように、優待を重視して検討する考え方もあるでしょう。

ただ、株式に比べるとJリートの優待制度はそれほど魅力的とはいえません。あくまで価格や利回りをもとに購入するJリートを検討し、そのおまけのような感覚で優待が受けられれば理想的だといえるでしょう。気になっている銘柄で魅力的な優待制度があれば購入を決めるきっかけになるかもしれません。

不動産投資信託のメリット

不動産投資信託を行うメリットとしては次のようなものが挙げられます。

少額からでも資産運用ができる

一般的に不動産に投資しようと思ったら数百万~数千万円、下手をすると1億円以上のお金が必要になります。しかし、Jリートの場合は一人ひとりの投資家から少量ずつ資金を集めて運用する方法なので、投資をしたいと思っているけれどまとまったお金が用意できない…といった方でも検討しやすいのがメリットです。

分散投資が可能

投資でリスクを抑えるためにはひとつの商品にまとめて投資するのではなく、分散投資を行うことが非常に大切だといわれています。

ひとつの不動産のみを取得していた場合、それが失敗した時に出た赤字を他でカバーすることができません。しかし、複数の資産に対して投資を行っておけば、万が一どれかひとつで失敗したとしてもリスクを抑えられるのです。

一般的に個人で分散投資をするのは難しいといわれていますよね。複数の不動産を所有するにはそれなりのお金が必要になるからです。Jリートなら少ない金額から購入できる投資ということもあり、分散投資が選択しやすいのも大きなメリットだといえるでしょう。

ほとんどの収益が分配される

Jリートが注目されている大きな理由が、発生した利益のほとんどが投資家に分配されるということ。せっかく投資をしても配当率が低いと思うようにプラスになりません。

Jリートはそういったものとは違うため、より利益を出しやすくなるでしょう。

専門的な知識がなくても運用しやすい

不動産投資をする際にはかなり勉強しなければなりませんが、Jリートの場合は専門家が運用を行ってくれます。個人的に不動産を購入し、投資を行うのに比べると物件維持やテナント管理などの知識が省けるので検討しやすいでしょう。

一般的に投資のために不動産を購入したあとは維持や管理を行ってくれる方を自分で手配しなければなりません。Jリートの場合はそういった業務もまとめて行ってくれるので手間がかからないのも魅力です。

通常の不動産購入を行った場合には自分でしっかり管理を行わなければ十分な利益が出ませんが、専門家に運用を任せる方法なので、保有しているだけで配当収入が得られるような商品となります。

過去に不動産を購入したことがあるものの、管理が難しくて挫折してしまった…という方でも検討しやすいでしょう。

不動産投資信託のデメリット

Jリートは一般的な不動産購入の方法とは少々異なるため、何か特別なリスクがあるのでは…と思う方もいるかもしれません。Jリートを実践することによって発生するリスクは一般的な投資と変わりありません。

代表的なのは投資した不動産の価値が変動する可能性があるということ。不動産の価値はさまざまな条件によって変動しますよね。

例えば、所有している不動産が震災で被害を受けた、火事で燃えてしまったなど。こういったことが起きた場合には資産価値が大きく低下します。

また、Jリートは証券取引所に上場していますが、上場していれば必ずしも安心とはいえません。というのも、実際に過去には破綻してしまったJリートもあるからです。

資金の調達計画などに無理があると運用がうまくいかず、破綻してしまう可能性もあります。ただ、通常の株式などに比べるとそのリスクは非常に低いといえるでしょう。

それこそ企業の倒産はめったにあるものではありませんし、こういった点でのリスクは低いです。

Jリートは不動産投資におけるリスクをできるだけ抑え、安全性・安定性を高めた投資方法として人気があります。こういったメリットやデメリットについても比較し、自分に向いているのかどうか考えてみましょう。

不動産投資信託は初心者でも行える?

現在、不動産投資信託でかなり稼いでいる人でも初めは初心者だったわけですから、初心者でも投資自体を行うことは可能です。

しかし、注意しておかなければならないのが、初心者でも不動産投資信託ができる=絶対に勝てるわけではないということ。始めれば必ずしも利益になるとは限りません。この点だけは十分に理解しておきたいですね。

そこで、初心者の方が不安に思いがちなことや、注意しておきたいことについてご紹介しましょう。

そもそも基本的な投資の流れは?

一つひとつの手順を追ってみると自分でもできるのかどうか?がわかりやすいはずです。
Jリートの場合、基本的な流れは次のようになっています。

まずは銘柄を選ぶのですが、その後は投資法人によって運用が行われることになるのです。あとはそこで利益が出た場合は収益から分配金が支払われます。

ここからもわかる通り、投資家が行うのは一番最初の「銘柄を選択する」といった作業だけなのです。どの銘柄を選択するか考え、資産を用意すればあとは投資法人が運用を行ってくれます。

実際に初心者からJリートを始めた方の中には「思っていたより簡単だった」と感じる方が多いようです。もちろん、利益を生む銘柄を見つけ出すためには勉強も必要になってきますが、運用に関する細かいことはすべて投資法人が行ってくれるので、投資について1~100まで理解しておかなければ絶対に手を出せないわけではありません。

プロに任せられるから始めやすい

不動産の投資信託は資産運用のプロが行ってくれます。自分自身で不動産に関する細かい契約を行う必要もありませんし、運用について専門的な知識を持っている方が代わりに運用をしてくれるわけなので、初心者が適当に運用するのに比べると成功率は大きくアップするでしょう。

もちろん、リスクを少なくするためには自分自身でも不動産投資についてしっかり知識を身につけておくことが重要です。

不動産投資信託初心者が犯しがちなミス

不動産への投資に限ったことではありませんが、投資で利益を上げるために何よりも重要なのが一度に大きな利益を期待しすぎないことです。ほんの少しの利益ならば魅力がない…と感じる方もいるかもしれませんが、投資で利益を上げていくためにはいかに負けないか?について考えることが重要になってきます。

不動産投資信託の場合、少額から始められるのが大きなメリットです。そのため初心者でも始めやすいのですが、慣れるまでは少額の運用に留めておき、少し不動産投資信託について知識がついてから本格的な運用を検討するようにしてみてくださいね。

資産がたくさんあるからといって初心者のうちに大きな運用に手を出してしまうと失敗したときのリスクが大きくなってしまいます。

資産運用に関するスキルは簡単に身につくものではありません。長い目で見て少しずつ利益を出していけるようにしてみましょう。

まずは投資を学ぶことが大切

投資をする上で初心者の方が絶対に避けておきたいのが「何が原因で失敗してしまったのかわからない」という状況です。自分でも何が起こっているのかわからないうちに資産が減ってしまった…という状況だけは何が何でも避けておきたいものですよね。

初心者が不動産投資信託で失敗しないためにはどうすれば良い?

運用を行ってくれる専門家のことをファンドマネージャーと呼ぶのですが、不動産の投資信託で何よりも重要になってくるのはどのファンドマネージャーに依頼をするのか?ということです。

ファンドマネージャーによって過去の実績などは全く違います。あまり実績のないところや運用力のないところに依頼をしてしまうと失敗のリスクも高まりますよね。

ファンドマネージャーを選ぶ際には自分にとってぴったりのところを選ぶことが重要になってきます。例えば、同じ不動産投資信託をするにしても人によっては運用に関する考え方は全く異なるでしょう。

多少リスクがあってもいいからできるだけ利益率の高い不動産がいいという方もいれば、とにかく利益を抑えて安定性を重視したいと考える方もいるはず。

それぞれ得意としているファンドマネージャーが異なるので、自分がどのような形で不動産投資信託をしたいと思っているのか?について明確にし、自分に合ったファンドマネージャー探しをしましょう。

まずは始めてみることも大切

リスクのことばかり考えてなかなか始められない方も多いようです。しかし、実際に始めてみないとわからないことがたくさんあります。

不動産投資信託は少ない金額から開始できるものなので、まずは始めてみて何がわからないのか、難しいのかについて理解することが重要だといえるでしょう。実際に投資信託を始めてみると自分にどういった知識が足りていないのかなども把握できるようになります。
その上で足りない知識について少しずつ学び、スキルを身につけていきましょう。